増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
炎症マーカー
アミロイドA(SAA)
山田 俊幸
1
1自治医科大学臨床病理学
pp.244
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906329
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
血清アミロイドA(serum amyloid A:SAA)は,炎症刺激を受けて産生されたサイトカイン(TNF-α,IL-1β,IL-6など)の作用により,主に肝細胞で産生される血漿蛋白である.血中では高比重リポ蛋白HDL中に存在する.慢性炎症性疾患ではSAAのN末端側2/3部分がアミロイド線維化し,組織に沈着することがある(二次性または続発性アミロイドーシス).
SAA濃度の変化は,急性心筋梗塞を例にすると,発作後半日程度で上昇し始め,2〜3日でピークとなり,1週〜10日で正常化する.SAAのピークはIL-6のそれに1日遅れると考えてよい.したがって,リアルタイムの観察にはIL-6が優れているが,サンプリングの時期によってはIL-6は低下していることもある.SAAはCRPと高い相関を示し,多くの炎症性疾患で同じ意義をもつと考えてよい.CRPの反応が低く,SAAの測定が勧められる病態としてはウイルス感染症,SLE,腎移植拒絶反応が挙げられる.また,後二者も含まれるが,シクロスポリン,副腎皮質ホルモンを服用している患者では,一般的にCRPが低反応,SAAが高反応となる傾向にあり,そのような状態では異常を検出する感度はSAAのほうが高い.
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