増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
蛋白
セルロプラスミン
友安 茂
1
1昭和大学医学部血液内科
pp.204-205
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906309
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異常値をきたすメカニズムと臨床的意義
セルロプラスミンは分子量132,000の青色を呈する銅蛋白であり,血清銅の95%はセルロプラスミンに含まれている.消化管から吸収された銅はアルブミンと結合して肝臓に運ばれる.肝臓で銅はアポセルロプラスミンと結合してセルロプラスミンとなり血中に放出される.排泄経路は主に胆道であり,そのほかに腎臓からも少量排泄されている.
セルロプラスミンは銅運搬としての機能は弱く,重要な生理作用は鉄酸化触媒(ferroxidase)作用である.肝臓で合成されたセルロプラスミンの銅は1価の還元型であるが,酸素存在下に2価の酸化型となる.酸化型セルロプラスミンの鉄酸化作用により2価鉄は3価鉄に酸化される(図1).3価になることによつて鉄はトランスフェリンと結合して骨髄やその他の組織に運搬されヘモグロビン合成,非ヘム蛋白合成に利用される.したがって,鉄代謝とセルロプラスミンには密接な相互関係があり,セルロプラスミンが欠乏すると貧血が発症したり,貧血があるとセルロプラスミンが変動する.前者の代表的な疾患が銅欠乏による小球性低色素性貧血であり,後者の代表的な疾患が再生不良性貧血である.再生不良性貧血の鉄代謝異常を是正するためにセルロプラスミンが高値となっていると考えることもできる.
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