けんさ—私の経験
補体価とC型肝炎とクリオグロブリンと膜性増殖性糸球体腎炎
吉永 泰彦
1
1岡山大学医学部第3内科
pp.194
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906301
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私は,腎臓病・膠原病を専門としているため,しばしば補体価活性(CH50),補体第3成分(C3),第4成分(C4)を検査します.時々,C3,C4が正常範囲なのに,CH50が低下していることがあります.教科書的には,補体成分の欠損症を疑うべきでしょうが,最も頻度の高いC9欠損症でも,1,000人に1人くらいと稀です.大部分は血清・血漿補体価解離現象,すなわち,採血後の低温(25℃以下)のためにC2,C4の活性が急激に低下(cold activation)することによる現象です.CH50を血清でなく,EDTA血漿で測れば低下していないことが確認されます.この現象は,教室の天野らが20年以上前から指摘しており,CH50はEDTA血漿で測定することを推奨しています.EDTAなどの抗凝固剤は,カルシウムなどをキレートしたり,C1inhibitor活性を増強して補体反応を阻害しますが,測定時には十分希釈され,カルシウムなども不足しないため,血漿で測定しても問題はないようです.
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