けんさ—私の経験
不明熱の患者に対する検査
猪熊 哲朗
1
1高松赤十字病院内科
pp.184
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906298
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症例は25歳,女性.主訴は発熱.入院10日前より38℃以上の発熱が持続し,近医で抗生物質の投与を受けるも無効.両膝の関節痛も自覚し精査・加療目的で入院する.入院12日前に抜歯を受けている.入院時の血液検査でCRP 6.63mg/dl,WBC 3,500/μl.生化学検査では異常を認めず.RA(-),ANA(-).胸腹部打聴診上異常を認めず.
臨床の場で遭遇することの多い「不明熱:FUO」は,1961年にPetersdorfらの提唱した古典的定義では,①3週間以上持続する38℃以上の発熱で,②入院後1週間の精査でも診断のつかないもの,である.しかし最近では,古典的なFUOの患者以外に,他疾患で入院中の患者,好中球減少を伴う患者,HIV感染の患者の3群を設定し,しかも精査にもかかわらず3日以内に診断がつかない場合をFUOと定義する.その原因疾患として,従来より感染症・悪性腫瘍・膠原病がビッグスリーといわれている.
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