図解・病態のメカニズム 胆道疾患・7
悪性胆道狭窄のマネジメント
今井 英夫
1
,
鈴木 智博
1
,
堀口 祐爾
1
1藤田保健衛生大学医学部消化器内科
pp.855-860
発行日 1999年5月10日
Published Date 1999/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906044
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胆道狭窄を起こす悪性疾患すなわち胆管癌,胆嚢癌あるいは膵頭部癌などの治療に関しては,可能な限り根治的切除術を行うことが現時点では最善と言えよう.また一方では,近年の画像診断の目覚ましい進歩が胆道癌の早期発見をもたらし,無黄疸にて比較的早期に発見され切除が可能である症例が増加しつつあるものの,依然として過進展した例や切除不能例が多くを占めているのも事実である.したがって,悪性胆道狭窄のマネジメントの可否や良悪が胆道癌症例の予後および患者のQOLを左右すると言っても過言ではない.
胆道狭窄に対するアプローチの第一歩は,胆道ドレナージ術であることは言うまでもない.すなわち減黄,胆道感染の回避はもちろんのこと,ドレナージルートを用いた胆道鏡(PTCS)や胆管内超音波検査(IDUS)の精密検査が切除成績向上のためには必須となる.一方,胆道狭窄をきたした悪性腫瘍の切除率は向上したとはいえ肝門部癌や胆嚢癌では20%前後にすぎず,残された非切除例では内瘻化に代表されるinterventional radiologyを駆使してQOLの向上を目指すこととなる.そこで本稿では,治癒切除を目指した悪性胆道狭窄のマネジメントと非切除例における内瘻化術の最近の動向について述べてみたい.
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