増刊号 Common Drugs 350の投与戦略
腎疾患治療薬
利尿薬
ラシックス(ヘキスト・マリオン・ルセル)
柳田 太平
1
,
吉富 宏治
1
1九州大学医学部第2内科
pp.384-385
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905662
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臨床薬理
●作用機序:ヘンレの太い上行脚の管腔側膜には,Na-K−2C1共輸送とKチャネルが存在し,基底側膜にはNaポンプとKチャネル,C1チャネルが存在しており,強力にNaを再吸収している.ループ利尿薬は,このNa-K−2C1共輸送体を選択的に阻害することで,利尿効果を発現している.ヘンレ上行脚でのNaC1の再吸収量は糸球体濾過量の20〜30%に相当するため,尿中Na排泄分画(FENa)は20〜30%となる.これは,サイアザイド系利尿薬の5〜10%に比し,ループ利尿薬が強力な利尿作用を有していることを示す.生理学的にNa-K−2C1共輸送体の存在が確かめられている臓器,すなわち小腸,唾液腺,耳下腺,涙腺,脈絡膜,汗腺などにも,ループ利尿薬が作用することを考慮に入れると,副作用の発現が理解できる.
●血中濃度モニタリング:通常は行われない.腎機能正常者に経口投与すると,1時間以内に利尿効果が出現し,作用は約6時間持続する.静脈内に投与した場合は,効果の発現は早く,30分以内にピークに達するが,持続は2〜3時間と短い.腸管でのフロセミドの吸収率は40〜60%であり,約半分は便中に排泄される.dose-responseは明らかであり,投与量を増せば効果も大きくなる.
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