増刊号 Common Drugs 350の投与戦略
腎疾患治療薬
利尿薬
アルダクトンA(日本モンサント—大日本)
柳田 太平
1
,
吉富 宏治
1
1九州大学医学部第2内科
pp.386-387
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905664
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臨床薬理
●作用機序:アルドステロンは,他のステロイドホルモンと同じように,標的細胞の基底側膜にある受容体に結合し,ホルモン—受容体複合体を形成する.この複合体が核のクロマチン受容体と結合後,アルドステロン誘導蛋白が合成され生理作用を発揮する.アルドステロンの主な作用部位は,皮質部集合管,髄質外層集合管と考えられており,集合管細胞における管腔側膜のNa,Kチャネルの増加,基底側膜のNa-K—ATPase活性の亢進,α間在細胞における管腔側膜のHポンプ活性の亢進,基底側膜のC1/HCO3交換輸送の亢進をもたらすことにより,Na再吸収,K分泌,H分泌を刺激する.スピロノラクトンはアルドステロン受容体と結合はするが,核内に移行せず生理活性を示さない.これによりアルドステロン拮抗阻害効果を示し,NaとC1の排泄を促進し,Kの排泄を抑制するカリウム保持性利尿薬として働く.また,副腎皮質において,3β—hydroxysteroid dehy—drogenase,21—hydroxylase,11β—hydroxylase,コレステロール側鎖切断酵素などのステロイド合成酵素を阻害し,アルドステロンの産生を抑制する作用をもつ.
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