増刊号 Common Drugs 350の投与戦略
神経・筋疾患治療薬
脳循環代謝改善薬
サアミオン(田辺)/ケタス(杏林)/セロクラール(ヘキスト・マリオン・ルセル)
赫 彰郎
1
,
山室 学
1
1日本医科大学第2内科
pp.190-194
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905526
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
脳循環代謝改善薬とは
脳梗塞,脳出血の後遺症として,片麻痺などの神経脱落症状のほか,意欲低下,自発性の低下,抑うつ,情緒障害などの精神症候がみられたり,頭重感,めまい,痺れ感などの自覚症状がみられることが多い.脳循環代謝改善薬は主に,こういった症状のある脳梗塞や脳出血の慢性期に投与される.脳循環代謝改善薬は脳循環改善薬と脳代謝改善薬に大別される.前者は脳血管拡張作用を有し,それにより脳血流量を増加させる.後者は脳のエネルギー代謝や神経伝達物質の調整によって脳の機能を改善する.後者では脳の代謝の改善により脳血流の改善もみられる.また,前者は脳血流の改善により脳の代謝を改善させるので,両者を明確に分類するのは困難なことが多く,両者の作用を併せもった薬剤も多い.
脳循環改善薬が主としてめまいや頭重感などの自覚症状に有効であるとされるのに対して,脳代謝改善薬は自発性の低下や抑うつ状態などの精神症候に効果がある.投与方法は,脳循環改善薬1種類に脳代謝改善薬1種類を併用するか,脳代謝改善薬のうちから作用機序の異なるものを2種類選択することが多い.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.