カラーグラフ 塗抹標本をよく見よう・5
赤血球の異常・5
久保西 一郎
1
,
藤田 智代
2
,
浜田 恭子
3
,
高橋 功
4
,
三好 勇夫
1
1高知医科大学第3内科
2高知医科大学附属病院中央検査部
3高知県立中央病院中央検査部
4高知県立中央病院内科
pp.995-998
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905118
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
寒冷凝集素症(cold agglutinin disease)
自己免疫性溶血性貧血のほとんどは温式抗体によって生じるが,一部冷式抗体によって生じるものもある.冷式抗体には発作性寒冷ヘモグロビン尿症(paroxysmal cold hemoglobinuria)にみられるIgG型の寒冷血素と,寒冷凝集素症にみられるIgM型の寒冷凝集素とがある.図1〜3は寒冷凝集素症患者の末梢血塗抹標本である.
図1は血液を4℃に冷やして作製した塗抹標本である.抗凝固剤を加えているにもかかわらず,激しい赤血球凝集が認められる.冷式自己抗体の作用温度域は様々で,患者によって異なる.その温度域が広い場合,体温より少し低い温度でも赤血球と結合して溶血を起こす.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.