カラーグラフ 塗抹標本をよく見よう・7
血小板の異常・2
久保西 一郎
1
,
藤田 智代
2
,
浜田 恭子
3
,
高橋 功
4
,
三好 勇夫
1
1高知医科大学第3内科
2高知医科大学附属病院中央検査部
3高知県立中央病院中央検査部
4高知県立中央病院内科
pp.1383-1386
発行日 1996年7月10日
Published Date 1996/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905200
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
血小板無力症
図1は,血小板無力症(thrombasthenia)の末梢血塗抹標本である.Glanzmannによって初めて記載されたので,Glanzmann's diseaseとも呼ばれている.常染色体劣性遺伝の先天性の出血性疾患で,新生児期あるいは小児期に,鼻出血,歯肉出血,点状出血,紫斑などを生じるので診断される.出血時間が著明に延長するが,この病気は血小板機能の異常によって生じるので,図1に示すように血小板の数,形態には異常を認めない.
図2は,本患者の血小板凝集能検査の結果である.凝集能検査を行うと,図2のようにADP,collagen,epinephrineを添加しても凝集は全く認められない.図3は正常コントロールであるので比べていただきたい.正常の場合,ADP,collagen,epinephrineを加えると凝集が起こり,時間の経過とともに図3のような凝集下降曲線が得られ,4分後くらいからプラトーとなる.図2では,図3で見られる凝集下降曲線が全く認められず,血小板凝集が全く起こっていないことが分かる.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.