図解・病態のメカニズム—分子レベルからみた神経疾患・8
ビオプテリン代謝障害—著明な日内変動を伴う遺伝性進行性ジストニア
瀬川 昌也
1
,
西山 信好
2
1瀬川小児神経学クリニック
2東京大学薬学部
pp.787-793
発行日 1996年4月10日
Published Date 1996/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905073
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HPD(著明な日内変動を呈する遺伝性進行性ジストニー)は,特異な臨床症状から,NS(黒質線条体),DA(ドパミン),ニューロン終末部のTH(チロシン水酸化酵素)の減少がその病因に示唆されていた1,2).これは,一剖検例の神経病理3)および神経組織学的検索3,4)で証明され,さらに,髄液プテリジン代謝産物の検索からGCH-I(GTP cyclohydrolase I)の低下がTH,ひいてはDAの低下の原因であることが示唆された5,6).この酵素の遺伝子が発見されたことから7),候補遺伝子検索により,14q22.1-q22.2に位置するGCH-Iが原因遺伝子であることが明らかにされた8).本稿では,このビオプテリン代謝障害が特異的な臨床像といかにして結びつくか考察した.
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