今月の主題 外来診療でここまでできる
消化器疾患
治療的腹水ドレナージ
山室 渡
1
,
住野 泰清
1
1東邦大学医学部第2内科
pp.1766-1768
発行日 1997年9月10日
Published Date 1997/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904692
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ポイント
●欧米で普及しつつある「治療的腹水ドレナージ」は,肝硬変患者の腹水を一度に4〜6l,短時間でドレナージする治療法で,有効性と安全性が注目されている.
●欧米ではアルコール性肝硬変,わが国ではウイルス性肝硬変が多く,腹水治療では両者の病態の違いを理解しなければならない.
●ウイルス性肝硬変患者の腹水例では循環動態・肝機能が不良で,腹水ドレナージの副作用を起こしやすく,適応は慎重になる.
●外来での腹水ドレナージは,利尿剤などの治療に反応しない例が一般的な適応で,アルブミン点滴静注を併用し,2〜3lドレナージする.アルコール性肝硬変は積極的な適応になりうる.
●注意すべき合併症は循環不全,肝不全,腎不全であり,バイタルサインのほか,BUN,クレアチニン,ビリルビン,アルブミン,アンモニアなどの監視が必要である.
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