CHEC-TIE—よい医師—患者関係づくりのために・6
患者が医師の指示になかなか従ってくれないとき
箕輪 良行
1
,
柏井 昭良
2
1自治医科大学大宮医療センター総合医学第2
2自治医科大学看護短期大学
pp.1236-1237
発行日 1997年6月10日
Published Date 1997/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904573
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症例 運動療法と節酒ができないNIDDM
イチカワさん,53歳,男性.5年前から糖尿病の治療目的で通院を始めた.標準体重61kgのところ64〜65kgで推移している.当初8.0台であったHbA1cは,1年前までは9.0〜10.0でほぼ定常的であったが,最近11.0を越えるほどとなり,受診のたびに食事,運動,飲酒,服薬について注意を促した.現在,網膜症(A1),腎症(タンパク尿(-)),神経症は進行していない.教育入院をすすめたが,外来で行われる糖尿病教室に出席しただけで実現していない.服薬はオイグルコン(2.5mg)2T,グルコバイ(50mg)4Tで規則正しい.
異動の多い郵便局職員で,1年前から通勤に片道1時間半以上かかるところへ転勤した.社交的で,つきあいなどで酒を飲むことが多く,楽しみでやめられない.以前は毎日夕方に1時間近く犬と散歩をしていたが,今は週1回程度.休日は趣味のヘラブナ釣りで,終日釣りぼりで座っている.ニコニコと笑いながら「30年以上やってますから,これはどうしてもやめられません.本当に先生には申し訳ないと思うんですが,当分少なくともあと2年間は難しいですねえ」.
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