Senior Course 血清
ランドシュタイナーの法則に従わぬ血液型(2)
村上 省三
1
1東女医大・輸血部
pp.619
発行日 1971年6月15日
Published Date 1971/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907236
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1.余剰型
これは‘おもて検査’の成績からはランドシュタイナーの法則にあてはめますと,‘存在するはずのない’抗体が血清の中にあるため‘うら検査’'の成績と一致しない場合です.一般にはランドシュタイナーの法則が適用できたときにみられる血清中の抗体以外の抗体を,不規則性抗体(irregular antibody)と1呼]んでいます.この項のケースにみられるような抗体や,Rh0(D)陰性のヒトに免疫でできた抗Rh0(D)抗体〔Rh0(D)陰性のヒトでも血清中には抗Rh0(D)抗体はないのが普通〕などがそれの中に入れられています.
余剰型にはたとえば‘おもて’からみるとA型であるのに,‘うら’では抗A抗体も抗B抗体も検出されるので,O型のように見える場合などがあげられます.この場合は詳しく申しますとこの人は,A2(またはそれ以外のA型亜型であることもある)型で,血清中には当然あるべき抗B抗体のほかに抗A1抗体があったのだということになります.もちろんこの場合,不規則性抗体としての抗A1抗体は普通の抗A抗体に比べますと,抗体価も一段と低く(せいぜい16倍くらいまで,普通は多くは64-256倍くらい),しかもその反応は低温でかなり強いが,高いところ,たとえば37℃ではほとんどまたは全く反応がみられません.普通の抗A抗体でも低温のほうが強いのですが,それでも37℃でもまだ32倍前後の抗体価は示します.またご当人のA型血球はこの場合の抗A1抗体とは反応しませんが,普通の抗A抗体はこの人の血球とも反応します.多少弱いことがあるかもしれませんが.
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