CHEC-TIE—よい医師—患者関係づくりのために・4
患者が医師の専門領域に疑問を表明したとき
箕輪 良行
1
,
柏井 昭良
1
,
竹中 直美
2
1自治医科大学大宮医療センター総合医学第2
2日鋼記念病院医学情報部
pp.790-791
発行日 1997年4月10日
Published Date 1997/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904479
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症例陰茎痛を訴えるうつ病の患者
オオノさん,65歳,男性.陰茎の先端痛が我慢できないため救急外来を受診した.同一の症状で10年前に膀胱頸部硬化症,7年前に慢性前立腺の既往.半年前から痛みが再発し,1カ月前に泌尿器科で経尿道前立腺切除術を受け治療は成功,痛みは軽快した.ところが,最近になって再び悪化,「じっと座っていられないほど」の痛みで,腰痛を伴ってきた.整形外科にかかり異常なしと診断され,さらに内科にも受診中という.焦燥感があり,表情が固い.不眠,食欲低下,気力の減退,希死念慮を認めた.
「ご家族はどうおっしゃっていますか」と質問したところ,90歳の父親と二人暮らしで,妻を昨年亡くしていた.二人の子供夫婦とは同居していない.明日,妻の一周忌で法事があるが,痛みでとても長くは座っていられそうもないという.オオノさんの話から,喪失体験によるanniversaryreaction,焦燥性うつ病も強く疑われることを説明し,服薬を勧めた.
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