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心不全,心房細動で入院中に腹痛,血便をきたした症例
児玉 秋生
1
1仙台循環器病センター内科
pp.617
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904240
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病気を早期に発見し治療することは,どの疾患においても大切であるが,迅速な対処により後遺症なしに治療できた8年前の印象深い症例を紹介する.症例は62歳の女性.動悸,息切れを主訴に心不全,心房細動の診断で2月9日入院した.理学的には下肢に軽度の浮腫を認める以外異常所見は認めなかった.入院時の胸部X線写真では心拡大と軽度のうっ血,少量の胸水を認め,心電図では心房細動を認めた.心エコーでは軽度の僧帽弁狭窄症と大動脈弁狭窄症を認め,左室の収縮は全体に軽度の低下を認めたが左房内血栓は認めなかった.心房細動および心不全に対し少量の利尿剤,ジゴキシン,リスモダンを投与したところ,心不全は比較的速やかに改善し,心房細動も2月16日には洞調律に戻った.2月27日より再び心房細動となり,3月3日午前1時7分洞調律に戻った.同日の午前9時40分,突然臍周囲の激しい腹痛が出現し,嘔気,嘔吐あり.冷汗も伴っていた.
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