“ホッ”とspot
Smiling depression
今村 彰
1
1小千谷総合病院内科
pp.517
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904184
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80歳台の女性.気管支喘息とのことで入院していたが,笛音が頸部中心であり,耳鼻科的に異常を認めなかったことから不安神経症による増悪と考え,メキサゾラムを投与した.投与後症状は消失,外来にて経過をみていたところ死亡の連絡あり,酒に酔っての自宅の二階からの転落死であった.聞いたところでは,家族がなく親戚と同居していた,とのことであった.状況から“うつ”による自殺を疑った.“うつ”への抗不安薬単独投与はsmiling depressionの原因となるため禁忌といわれている.smilingdepressionでは自殺率が高くなる,とされているからである.注意してみると,一般内科でも不安症状,強迫症状を主とする“うつ”の患者をみることは決して少なくはないことがわかる.特に身体症を基礎にもつ高齢者では症状の増悪因子としての“うつ”の合併に注意を向ける必要がある.
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