書評
—多田正大・長廻紘編—老健法大腸癌検診に対応するための大腸検査法マニュアル
高野 正博
1
1福岡高野病院
pp.478
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904168
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食生活の欧米化や高齢化が大きな要因となって,男女ともに大腸癌が急激に増加し死因の上位を占めるようにもなった.
大腸癌は,一次検診として便潜血検査が利用できる,比較的に悪性度が低い,成育が緩やかである,内視鏡あるいはX線で初期のものでも発見しやすい,早期のものは内視鏡などで侵襲が少なく切除できるなどの特徴があり,ある程度進行していても手術による根治性が高いなど,他癌に比して大変集検向きの癌である.したがって,これに対して1992年(平成4年)より老人保健法による大腸癌検診が実施されることとなったことは当を得ているといえる.しかし,国レベルの検診としては初めてのことであり,実際に集検業務に当たる者にとって,集検を開始するに当たって分からぬことが多く,実際に始めてみるとますます疑問点や問題点が生じてくることは想像に難くない.ことに本書でも強調されているように,保健と医療が密に協力し合わねば遂行できない業務である.したがって,かねてよりこのようなマニュアルの出版が強く要望されていた.今回,多田正大,長廻 紘両氏編集による『大腸検査法マニュアル』が出版されたことは実に時宜にかなったことだと思われる.
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