増刊号 Common Disease 200の治療戦略
原因不明の全身疾患・肉芽腫症
ベーチェット病
広畑 俊成
1
1帝京大学医学部第2内科
pp.462-463
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904161
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疾患概念と病態
ベーチェット(Behçet)病は,再発性口腔内アフタ性潰瘍,皮膚症状(結節性紅斑,毛嚢炎様皮疹,皮下の血栓性静脈炎),外陰部潰瘍,ぶどう膜炎を主徴とする原因不明の炎症性疾患である.特殊な場合を除き,一定の部位の炎症性病変が慢性に持続するのではなく,急性の炎症が反復し,増悪と寛解を繰り返しつつ遷延した経過をとるのが特徴である.本症はトルコ,中東,中国,日本を結ぶ帯状のシルクロードに沿った地域に多く,欧米では少ない,本症の病因は不明であるが,HLA-B51と関連した遺伝的素因と何らかの外因が発症に関与すると考えられている.特に,本症患者には扁桃炎,う歯の既往や手術,外傷,抜歯などでの増悪が多いことから,ある種の細菌抗原が本症の発症に関与する可能性が考えられている1).
本症の病態形成にあたっては,多少の例外はあるにせよ,Tリンパ球の過敏反応性による好中球の機能亢進が中心的役割を担っていると考えられる.こうしたTリンパ球の過敏反応が何らかの外因により誘発されて発作が生じると推察される.
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