連載 眼の組織・病理アトラス・43
ベーチェット病
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.584-585
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908119
- 有料閲覧
- 文献概要
ベーチェット病Behçet's diseaseは,口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍,皮膚症状,眼症状,外陰部潰瘍を4主症状として,全身の諸臓器をおかす原因不明の疾患である。ベーチェット病の眼病変の特徴は眼内各組織の閉塞性血管炎を主体とした眼組織全体の炎症である。病変は網膜,視神経,ぶどう膜,強膜などにはじまる。
臨床的には,結膜の充血,上強膜炎,前房混濁,硝子体混濁,網膜の浮腫,出血,滲出斑など(図1)がみられる。螢光眼底検査では,広範囲にわたって網膜血管とくに毛細血管からの螢光色素の漏出が著明である(図2)。症状は一過性であるが,炎症は再燃しやすい。再燃を重ねるにしたがって,種々の器質的障害が残るようになり,ついには視機能が失明または失明に近い状態にまで低下する。失明は主としてびまん性網脈絡膜萎縮や視神経萎縮,または牽引性網膜剥離を伴った眼球癆による。
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.