書評
—西俣寿人・西沢護著—胃X線診断ブラッシュアップ—撮り方・読み方・考え方
土井 偉誉
1
1岐阜大学
pp.221
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904054
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ぜひ知っておいてほしい本書の特徴を最初に述べておく.第一にお2人の著者が消化管X線診断の名人であると同時に内視鏡専門医であり,病理組織学にも造詣の深い臨床医であることである.西沢氏は小生にとって,千葉大学第1内科で白壁研究室の先輩,西俣氏は鹿児島大学の政先生の弟分であり,ともに白壁先生の診断哲学を受け継いでおられる.本書の記述は西沢氏がテーマ提起,西俣氏が本音でそれに応える形式である.お2人の経歴を知る小生にとっては,特に感慨深く,まさに「ブラッシュアップ」である.同じ専門領域の対談では,得てして「遠慮と照れ」が潜在し,期待が裏切られることが多いのであるが,本書では見事に「プロの真髄」を伝えている.
第二の特徴は,初心者向きではないことである.うわべだけを読まれたのでは本書の意味が薄れてしまう.少なくとも,ある程度胃X線診断の経験を積んだ人に読んでいただきたい.掲載されている写真はマスターピースの供覧ではなく,現場での実例であり,質の良い写真,良くない写真が混在しているが,それぞれの写真の成り立ちと診断上の意味が解説されている.
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