増刊号 Common Disease 200の治療戦略
消化器疾患
逆流性食道炎・食道潰瘍
杉山 雅
1
1桐生厚生総合病院内科
pp.105-106
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904002
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疾患概念と病態
逆流性食道炎は,胃液あるいは/および小腸液の逆流により食道炎膜が障害された状態である.病理学的には,組織学的に好中球浸潤や乳頭の延長などを認めるだけのものから,明らかなびらんや潰瘍を形成するものまでみられる.
逆流性食道炎は,いくつかの因子が組み合わさって発症すると考えられている(図1).ほとんどの逆流性食道炎に合併する食道裂孔ヘルニアは逆流防止機構を減弱すると考えられている.胃液の逆流を防いでいる下部食道括約筋(LES)は,通常の嚥下による弛緩とは異なった,一過性の,持続の長い,強い弛緩(一過性LES弛緩,transient LES relaxation)を時々起こす.LES圧からみると逆流は3つのタイプに分けられる.それらは,①一過性LES弛緩に伴う逆流,②腹圧上昇時のLES圧の昇圧不全に伴う逆流,③著明なLES静止圧の低下による逆流(free reflux),であり1),①は健常者にもみられるが,逆流性食道炎では頻度が増加しているとされている.②,③は病的な逆流である.攻撃(胃側)因子の側からみると,胃排出遅延は逆流を起こしやすくするため重要な因子であると考えられている.
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