増刊号 Common Disease 200の治療戦略
循環器疾患
血栓性静脈炎(表在性血栓性静脈炎・深部静脈血栓症)
山下 裕久
1
1旭川医科大学第1内科
pp.98-99
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904000
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疾患概念と病態
血栓性静脈炎は,臨床上,静脈壁を場とする炎症と,それに併発する静脈血栓症のすべてを含む概念であり,表在性血栓性静脈炎と深部静脈血栓症に分類される.前者は主に静脈や隣接組織に炎症変化を伴い,血小板が主体の白色血栓で,静脈壁との癒着が強く,局所的な炎症過程として経過することが多い.後者では,血液凝固性の亢進や血流のうっ滞により,炎症性成分を含まない赤色血栓が形成されることが多く,血栓の遊離により肺塞栓を起こし,また重篤な末梢循環障害をきたす例もある.近年,深部静脈血栓症は増加傾向にあるといわれている,日常診療上でも本症の可能性を念頭において診療する必要がある.
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