今月の臨床 産科と凝固異常
産科診療と凝固異常
12.血栓性静脈炎
江口 勝人
1
1総合病院岡山市立市民病院産婦人科
pp.330-332
発行日 1998年3月10日
Published Date 1998/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903209
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産科学の進歩とともに,わが国の妊産婦死亡率は1965(昭和40)年ころに比べると10分の1以下に減少し,出生10万に対し7.16〔1995(平成7)年度〕とやっと欧米に匹敵するようになってきた.厚生省統計情報部によれば,妊産婦の直接死亡に結び付いたと考えられる原因のうち,出血性ショックが第1位,次いで脳内出血,第3位が妊娠中毒症と肺血栓塞栓である.
一般に,産褥に発生する重篤な血栓症としては,有痛性白股腫が古典的によく知られている.産科管理の進歩に伴って,最近はこの有痛性白股腫をみることはきわめてまれあるいは皆無となってきたが,妊産婦死亡の原因となる救急疾患であり,肺塞栓の原因となる深部静脈血栓が注目されてきている.本稿では妊産褥婦の血栓性静脈炎の成因,臨床的意義について述べる.
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