アメリカ・ブラウン大学医学部在学日記・10
全人的ケアを学ぶコミュニティ・ヘルス実習
赤津 晴子
1
1スタンフォード大学病院内科
pp.1238-1240
発行日 1995年6月10日
Published Date 1995/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903724
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必修である6週間のこのコミュニティ・ヘルスの実習では,「プライマリ・ケア」を学ぶことがその目的である.ここでいう「プライマリ・ケア」とは,一口で言えば,コミュニティの一般医として,患者の持ちかけるありとあらゆる医学的問題に対応し,全人的に患者のケアを行うことと言えるかも知れない.全人的とは,臓器の寄せ集めとしての患者ではなく,このコミュニティの一員として,今というこの時期にこんなことを感じ,考えている○○さん,として患者をとらえるアプローチである.もちろん一般医は必要に応じて,心臓なら心臓,眼球なら眼球,といったそれぞれの専門医の応援を頼むことになる.しかし,ここで重要なことは,いったいいつ専門家に患者を送り,どこまでは一般医のもとで患者のケアを行うかの見極めである.やたらに専門医を乱用することは皆の時間,お金,資源の無駄遣いにつながる.一方,専門知識不足のために何かの病気を見落とすことは患者の命に関わりかねない.本当に優秀かつ有用なプライマリ・ケア医を養成することは決してやさしくない.
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