薬を正しく使うためのDrug Information—副作用について・14
トリアゾラムによる一過性健忘
風祭 元
1
1東京都立松沢病院
pp.362-363
発行日 1995年2月10日
Published Date 1995/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903524
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トリアゾラムの概要
トリアゾラム(ハルシオン®ほか)は,わが国では1983年に発売されたベンゾジアゼピン系睡眠薬で,市販数年後には,全睡眠薬の売上げの最大のシェアを占めるようになった.トリアゾラムは血中の生物学的半減期が2時間前後と短い超短時間型の入眠誘導剤で,他の通常の睡眠薬によくみられる持ち越し効果(hangover effect)がほとんどなく,翌朝覚醒時の気分が爽快なので,各科の医師により広く用いられている.
トリアゾラムは,オランダで服用後の奇異反応が報告されて一時発売停止が行われ,また,イギリスやアメリカでも服用後の一過性健忘,翌日の不安の増大などの所見があり,これらがマスコミで犯罪や乱用の危険性を過度に強調する方向で報道が行われた.
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