Japanese
English
研究と報告
一過性全健忘(Transient Global Amnesia)の2例
Transient Global Amnesia
山鳥 重
1
,
白滝 邦雄
2
,
白方 誠弥
2
Atsushi Yamadori
1
,
Kunio Shirataki
2
,
Masaya Shirakata
2
1神戸大学医学部精神神経科
2神戸大学医学部脳神経外科
1Dept. of Neuropsychiatry, Kobe University School of Medicine
2Dept. of Neurosurgery, Kobe University School of Medicine
pp.303-308
発行日 1976年3月15日
Published Date 1976/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202459
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I.はじめに
1956年および1960年,Benderは"健忘を残す—回性錯乱症候群"(Syndrome of isolated episode of confusion with amnesia)を報告した。同じ頃FisherとAdamsは,全く同じ症候群を"一過性全健忘"(Transient global amnesia)と呼んでBenderと独立に報告した(Fisher and Adams,1964)。
前者は症候群の本質を,一回限りの発作であること,主として記銘力の障害であること,本人が異常に漠然とでも気付くこと,にあるとし,この異常状態注)から回復しても,その時期の健忘が残ることを指摘した。後者は症状の分析をさらに進め,この一回限りの発作中には,記銘障害と発作時を一定期間過去へ逆のぼる追想障害とが同時に存在すること,および発作後は発作中の出来事に対する健忘と,発作前一定期間の逆行性健忘を残すことを指摘し,本症候群が記憶にかかわる神経機構の選択的かつ一過性の機能障害であると推定した。
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