SCOPE
多断面経食道心エコー図
高元 俊彦
1
1佐々木研究所附属杏雲堂病院循環器科
pp.2401-2405
発行日 1993年12月10日
Published Date 1993/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902533
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経食道心エコー図の発展
経食道心エコー図(transesophageal echocar-diography:TEE)が臨床の場で汎用されるようになり,最近における装置の技術革新も著しい.これまで広く普及している前胸壁からのアプローチに比べれば,探触子の食道内挿入にやや経験を要し,また被検者にとって多少の不快感を伴う検査法ではあるが,肥満,肺気腫,胸郭の変形などにより前胸壁から鮮明な画像が得られないとき,あるいは術野の汚染が問題になるような開心術,大血管の手術時などにおいては特に有用な検査法といえる.
歴史的にみると,TEEの技術開発は1970年代後半に開始された1).本邦でも1977年,Hisanagaら2)によって本格的な器械操作型二次元経食道心エコー装置が開発され,その画質は現代のものにも匹敵するほどであったが,探触子をオイルバッグ様のもので包埋したために被検者にとっては異物感を伴い,また探触子の加熱による安全性の問題も残していた.また,single beamの探触子を先端に装着したflexible wire様のものを食道電極のように挿入し,食道内から左室前壁運動をMモードエコー図にて記録する方法が松崎らにより試みられた3).
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