電子内視鏡による大腸疾患の診断・21
画像処理 1.腫瘍
勝 健一
1
1埼玉医科大学第3内科
pp.2201-2205
発行日 1993年11月10日
Published Date 1993/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902499
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電子内視鏡の出現により,電気的な処理による診断能力の増大と科学的な診断技術への発展の希望が抱かれた.しかし,いまだに通常の内視鏡診断の範囲を越ていない.おそらく使用上のメリットのほかに,自信をもって電子内視鏡がファイバースコープに勝ると断言できる人は現在のところいないであろう.これは電子内視鏡がファイバースコープの機構に固執してつくられていることに起因していると考えられる.内視鏡所見の診断が図1のような認識により行われていると仮定すると1),電子内視鏡には入力と出力の部分しか組み込まれていないことになる.この間を構成する機能を充実して初めて電子内視鏡が最初に求められた期待に到達するのである。
現在われわれが試みている画像処理には市販のパーソナルコンピューターを利用しているので,これらの機構を満たせるような高性能のコンピューターではない.したがって,臨床の場においてリアルタイムで利用できる画像処理とはほど遠いものである.また,現在の大腸内視鏡は被写体に対して正面から光源光で照明をすることは不可能であり,病巣を全体像として観察することは困難な機構になっている.さらに記録される画像は明るさや陰影の差まで記録されているために,内視鏡直視下での画像処理には適切な器機ではない.このような状況における現在の画像処理の写真を紹介する.
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