対談 内科診療のあゆみ・10
感染症の変貌と臨床からの対応
斎藤 厚
1
,
尾形 悦郎
2
1琉球大学医学部第1内科
2癌研究会附属病院
pp.1997-2010
発行日 1993年10月10日
Published Date 1993/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902455
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尾形 私が医者になった頃は,内科領域では形態を主とした病理学,そして細菌学が中心でした.それ以前は,感染症にかかればサルファ剤などが使われていたと思います.私は学生の頃,結核にかかりましたが,特効薬がなく,卒業する頃にやっとストレプトマイシンが登場しました.その後は結核の化学療法もどんどん進み,私が大学を卒業して医者になり,臨床トレーニングを始めた頃は,結核を含め感染症学は診断から治療への転換期を迎え,爆発的な発展を遂げるようになりました.
また,その頃の感染症の診療を振り返ってみますと,感染症を疑った場合,昔の伝統に従って,まず起炎菌は何かを一生懸命検索したものです.そして,当時は抗生物質が使われ始めたので,どういう抗生物質をどう使うか考えました.ただ,起炎菌の検索といっても,現在のように中検,その他にお願いするわけではなく,担当医みずからが血液をとって培養したり,スメアを作製して染めたりしたわけです.たまにチールニールセン染色で結核菌などが染まると,鬼の首を取ったような気がしたものです(笑).
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