特集 変貌する農村の社会医学的研究—第6回社会医学研究会・主題報告と総括討議
主題報告Ⅱ
農民生活の変貌
大牟羅 良
1
1「岩手の保健」
pp.637-641
発行日 1965年11月15日
Published Date 1965/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203143
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私の演題は「農民生活の変貌」となっております,実は私は人に頼まれると安うけ合いする悪いくせがあって,後で"しまった"と思うことがよくあるのですが,今回も後で"しまった"と思ったのですがあとの祭り,今この壇上に立っても困ったことになったとくやんでいる仕末です。実は「農民生活の変貌」と申しますと,私はアチコチ農村を歩きまわっているので若干知っているつもりでお受けしたのですが,後で考えてみますと,"生活"とは何ぞや,という問題に引っかかったわけです。"生活"といいますと,衣生活はこうだ,とか,食生活・住生活はこう変ったとかも,生活の変貌かも知れませんが,それだけが生活の全部ではないはずです。生活--とは,人間が生まれてから死ぬまでの生の営みの全部が入るわけでしょう。そう考えますと"生活"の変貌を語るということは,非常に難しいことになります。少なくも経済の側面からだけ,あるいは農業労働の面からだけ,といったとらえ方には,私としては何か抵抗を感じてならないのです。
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