電子内視鏡による大腸疾患の診断・12
表面型病変(1)—平坦・陥凹型大腸腺腫・m癌
田淵 正文
1
1東京共済病院内科
pp.353-357
発行日 1993年2月10日
Published Date 1993/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901995
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1987年頃までは,「大腸腫瘍(癌と腺腫)といえば,隆起している」のが常識であった.「隆起=腫瘍」という概念が支配的であったのである.「隆起の一部が崩れて陥凹部が出てくると,悪性化している」と認識されていた.
当時,「平坦・陥凹型の病変が全く見つかっていなかったか?」といえば,そうでもない.1977年の刈谷1)をはじめとするいくつかの症例報告がある.しかし,大腸腫瘍の10%前後が平坦・陥凹型であるとは,予想さえされていなかった.大腸の腫瘍全体からみる頻度はかなり低く,「大腸腫瘍の進行癌へのメインルートは,隆起型から」という命題に対抗する概念は,以前,存在しなかった.
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