カラーグラフ 電子内視鏡による大腸疾患の診断・10
アメーバ赤痢,性感染症
林 繁和
1
1名古屋液済会病院・消化器科
pp.2297-2301
発行日 1992年12月10日
Published Date 1992/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901906
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性感染症(sexually transmitted disease:STD)とは主として性行為を介して人から人へと感染する疾患の総称である.かつてはveneral disease(VD)といわれ,梅毒,淋病,軟性下疳,鼠径リンパ肉芽腫など,細菌性の疾患が主なものであったが,最近ではマイコプラズマ,クラミジア,ウイルス(伝染性軟属腫,性器ヘルペス,AIDS,尖形コンジローム,B型肝炎,伝染性単核球症),原虫(トリコモナス腟炎,アメーバ赤痢,ランブル鞭毛虫症),真菌,寄生虫(毛じらみ症,疥癬)など20数種に及ぶ病原微生物により惹起される疾患が知られている.このうち,多くの病原体が主として同性愛男性間でのoral-anal sexにより腸管感染症を起こすことが知られており,以下の3つに分類される.
第1は性行為により伝播する可能性のある腸管病原体で,赤痢菌,赤痢アメーバ,ランブル鞭毛虫,蟯虫,Campylobacter,Salmonellaなどであり,第2は直腸炎を起こす可能性のある性病病原体で,淋菌,梅毒トレポネーマ,クラミジア,単純ヘルペスウイルスなど,第3はAIDSと関連した消化管疾患で,食道,口腔カンジダ症,直腸の単純ヘルペスウイルス感染,Cryptosporidiosisなどである.
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