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慢性疲労症候群(CFS)の臨床像
橋本 信也
1
1東京慈恵会医科大学・第3内科
pp.1940-1945
発行日 1992年10月10日
Published Date 1992/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901745
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●はじめに
慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome;CFS)は,その名の示すとおり,慢性の激しい倦怠感を主症状とし,他に微熱,咽頭痛,頸部リンパ節腫脹,関節痛,筋痛など,多彩な臨床症状をもつ1つの病態である.これらは感冒の症状に似ている.事実,CFSの患者の多くは,最初感冒に罹ったと思い,いつまでも症状がぬけきれないと感じ,「今度の風邪はいつもと違う」と訴えることが多い.
CFSの患者はいつまでも続く易疲労感のため医療機関を訪れるが,どこでも「異常ない」といわれ,納得がいかず転々と多くの病院を尋ね歩く.その結果,自律神経失調症,ノイローゼなどの病名をつけられる例が多かった.元来,全身倦怠感はほとんどすべての病気でみられるものであり,疾患特異性に乏しい.しかも自覚症状であるから,客観的に測定することが困難である.
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