特集 疲れとだるさ
【診断】
特殊な疾患―慢性疲労症候群の診断
倉恒 弘彦
1,2,3
1関西福祉科学大学健康福祉学部
2大阪市立大学医学部疲労クリニカルセンター
3東京大学大学院農学生命科学研究科
キーワード:
慢性疲労症候群
,
診断指針
,
客観的評価法
,
自律神経機能
,
酸化ストレス
Keyword:
慢性疲労症候群
,
診断指針
,
客観的評価法
,
自律神経機能
,
酸化ストレス
pp.832-839
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102028
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慢性疲労症候群
chronic fatigue syndrome:CFS
慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome:CFS)とは,これまで健康に生活していた人が対人的・物理的・化学的・生物学的な複合ストレスがきっかけとなり,ある日突然原因不明の激しい全身倦怠感に襲われ,それ以降強度の疲労感とともに微熱,頭痛,脱力感や,思考力の障害,抑うつなどの精神神経症状などが長期にわたって続くため,健全な社会生活が送れなくなるという疾患である.
1984年,米国ネバダ州インクラインという人口約2万人の村で,原因不明の疲労患者の集団発生が報告された.その数は200名にも及び,村の人口の約1%にも達するものであった.当時,アメリカではEpstein-Barr(EB)ウイルス感染症が微熱や倦怠感などと関連していることが注目されていたことより,米国疾病対策センター(CDC)がEBウイルスを含めたさまざまな病原体についての調査を行った.しかし,この不可解な疲労病態の存在は認めるものの,その明らかな病原体は見出すことはできなかった.そこで,この病因・病態の解明を行うために,今後研究を行う対象症例を明確にするための基準(working case definition)1)を1988年に設定した.これが,その後世界中でCFSの患者を診察する際に広く使われるようになったCDC(Holmesら)のCFS診断基準である.
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