今月の主題 肝硬変から肝細胞癌へ—臨床医の正しい診療のために
肝細胞癌の治療はどこまで可能か
肝細胞癌治療への新しいアプローチ
多羅尾 和郎
1
1神奈川県立がんセンター病院・内科第2科
pp.1674-1677
発行日 1992年9月10日
Published Date 1992/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901690
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ポイント
1)肝細胞癌の治療にあたっては,肝動脈造影でA-Pシャント,A-Vシャントの認められる症例,TAE後すぐ再発する症例,微小癌結節が肝全体にみられるびまん型の症例,肝予備能低下のためTAEの施行できない症例などが難治性肝癌として問題になる.
2)このような症例に対し,われわれは新たにUFT経口投与(前投与および後投与)+CDDP肝動注療法を試みた.
3)その結果,いまだ例数は少ないが,A-Pシャント,門脈塞栓のある例でそれらの消失を,TAE後すぐ再発する例で再発までの期間の著しい延長を,びまん型肝癌例でそれら小結節の消失を認めた.
4)UFT経口投与(前投与および後投与)+CDDP肝動注療法は,上記の難治性肝癌では試みるべき一治療法と思われる.
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