今月の主題 肝硬変から肝細胞癌へ—臨床医の正しい診療のために
肝硬変でみられる病態とその治療の定石
肝硬変でみられる呼吸・循環系の異常
桑平 一郎
1
1東海大学医学部・第2内科
pp.1584-1586
発行日 1992年9月10日
Published Date 1992/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901668
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ポイント
1)肝硬変では,しばしば低酸素血症を認める.病態生理学的原因は個々の症例により異なるが,換気血流比不均等,肺内外の動静脈シャント,拡散障害が関与すると考えられる.
2)肝硬変の非代償期には胸水貯留をきたすことがある.通常,右側で黄色透明の漏出液を呈し,大部分腹水貯留に伴い出現する.
3)稀ではあるが,肝硬変に肺高血圧を合併することが知られる.発生機序に関していくつかの説があるが,原因はいまだ明らかでない.
4)肝硬変では循環器系の異常として,循環血液量の増加,門脈大循環シャント,血管拡張性物質の不活化による血中での増加などにより,心拍出量増大,末梢血管抵抗減少といういわゆるhyperdynamicstateがみられる.
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