心療内科コンサルテーション・4
慢性の痛みをどのように治療するか
村岡 衛
1,2
1九州大学医学部・心療内科
2村岡内科消化器クリニック
pp.1313-1316
発行日 1992年7月10日
Published Date 1992/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901609
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慢性の痛みとは
「慢性疼痛,慢性痛,心因性疼痛,身体表現性疼痛障害,原因不明の痛み」などという言葉で表現される痛みは,治療が難しい痛みという言葉に置き換えられる.では,痛みとは何か,という問題を明らかにして議論を進める必要があろう.国際疼痛学会の定義に従っておきたい1).その定義とは次のとおりである.「痛みとは不快な感覚的,情動体験で,実質的あるいは潜在的な組織損傷を伴うか,またはその損傷を表す.」
痛みを主訴にした患者を目の前にしたとき,通常,医師はその痛みがあるのか否か,その痛みの原因は何かと考える.そして原因に対する治療を行い,それで改善すれば,それで終わりであることは言うまでもない.多くの患者はそれで解決し得る.しかし,様々な検査で異常が見つからないとき,次のような会話が成立するかも知れない.
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