今月の主題 よくわかる水・電解質と酸塩基平衡
水・電解質異常の診断から治療まで
悪性腫瘍にみられる高Ca血症
池田 恭治
1
,
松本 俊夫
1
1東京大学医学部・第4内科
pp.812-815
発行日 1992年5月10日
Published Date 1992/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901501
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ポイント
1)高Ca血症は悪性腫瘍患者にしばしばみられる合併症で,その早期診断・治療が重要である.
2)悪性腫瘍に伴う高Ca血症は,発症機序のうえから局所性機序と全身性・体液性機序の2つに分類される.
3)骨髄腫細胞が骨局所で産生するIL-1やTNF-βは,骨吸収を促進し,高Ca血症を起こす.
4)各種の悪性腫瘍細胞が産生・分泌するPTH-related peptide(PTHrP)は,体液性機序で高Ca血症を起こす.
5)悪性腫瘍に併う高Ca血症の大部分を占めるHHM(humoral hypercalcemia ofmalignancy)の診断には,①高Ca血症,②低P血症,③血中PTHrPの上昇を証明することが基本である.
6)悪性腫瘍に伴う高Ca血症の治療の原則は,①原病に対する治療,②輸液による脱水の是正,③利尿剤による尿中Ca排泄促進,④骨吸収抑制剤の投与である.
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