今月の主題 糖尿病診療の実際
糖尿病診断の実際
糖尿病のスクリーニングと管理
立道 昌幸
1
1ソニー(株)本社健康管理室
pp.760-762
発行日 1991年5月10日
Published Date 1991/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900851
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糖尿病の成因は不均一であり,発症,経過が個々の症例により非常に多彩なため,スクリーニングにおいても一元的に論ずることの困難な疾患である.ただ糖尿病を診療する場合重要なことは,血糖値管理を含め,糖尿病特有の合併症,とりわけ血管病変の進展をいかに食い止めるかである.
近年の大規模な疫学研究により,高血糖状態のみならず正常血糖でも高インスリン血症を作り出す生体環境では,動脈硬化への感受性が著しく高いこと1),それに関連して生命余命が有意に低いこと2)が明らかになった.血管病変の進展には非可逆的な面があり,糖尿病の診断が下される以前からすでにその危険に暴露されているということである.とすれば,高インスリン状態を作り出すいわゆる耐糖能異常群からの管理が必要となってくる.
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