今月の主題 糖尿病診療の実際
診断
集団検診における糖尿病のスクリーニング
後藤 由夫
1
Yoshio Goto
1
1東北大学医学部・第3内科
pp.984-986
発行日 1984年6月10日
Published Date 1984/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219058
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糖尿病に特異的な所見
糖尿病はインスリン作用の不足による持続性の血糖上昇を主とする代謝異常があり,長い経過の間に特徴的な慢性合併症が起こる疾患である.その成因,発症機構,経過は多様なので,糖尿病と狭義に解するよりも,高血糖症(hyperglycemosisあるいはglycemosis)としてとらえ,いわゆる特発性糖尿病はその中の1つの病態と理解する方が考え方の整理に好都合である1).表1はこのような考えに立脚して高血糖症を整理したものである.筆者がこのような立場に立つのは,いわゆる特発性糖尿病に疾病特徴的な所見はなく,また特発性なる語そのものが現在の医学の不完全さを示すものであり,特発性といわれるものの中からつぎつぎに成因が解明されてゆく可能性が多いからである.高血糖は勿論のこと低インスリン血症,低インスリン反応,小血管瘤などはいろいろの病態で起こるものであり,また糖尿病に特異的な遺伝マーカーも現在知られていないので糖尿病のスクリーニングには高血糖と,それに付随する尿糖を指標にするのが一般的である.
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