増大号特集 続・Quality Indicatorの実装とその改善—日々の診療に役立つ診療評価指標
Column
働き方改革に対する評価指標
藤川 葵
1
1聖路加国際病院一般内科
pp.1990-1991
発行日 2024年10月10日
Published Date 2024/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402229835
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2024年4月,医師の時間外・休日労働の上限規制がいよいよ始まった.これにより,今までどこか他人事であった“働き方改革”に,多くの医師が直面している.日本各地の医療機関で,戸惑いつつも,ある種時代の流れとして働き方改革について議論をすることが日常になったことは,医療従事者の自己犠牲によって維持してきたわが国の医療における大きな変革と言える.筆者は2024年3月まで厚生労働省にて,医師の働き方改革に関する諸制度を担当し,政策立案,制度設計,普及啓発と幅広い仕事に携わってきたが,医師の働き方改革を一言で表すなら「医師が健康に働き続けることができる環境を整備すること」である.制度施行後に「結局,働き方改革は何を目指しているのか?」と問われることがあるが,まずは医師の働く勤務環境の整備といった構造的な部分,すなわち法令順守に徹したうえで,さまざまな働き方改革の具体的な取り組みに着手し,それに伴って医師の労働時間の短縮やwell-being向上などにつながっていくものと考えている.
実は,医療機関の働き方改革,言い換えれば医療機関の勤務環境改善は,法律では医療機関の努力義務となっていることはご存じだろうか.医療法第三十条の十九において,「病院又は診療所の管理者は,当該病院又は診療所に勤務する医療従事者の勤務環境の改善その他の医療従事者の確保に資する措置を講ずるよう努めなければならない」とされており,医療従事者の勤務環境改善については,厚生労働省告示『医療勤務環境マネジメントシステムに関する指針』に基づいて実施することになっている.
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