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2024年4月に九州地区の3名の胸部放射線診断のリーダーが編集された『即戦力が身につく胸部の画像診断』が出版された.実臨床を想定したコンセプトで構成された書籍シリーズの胸部版である.疾患項目ごとに記載をしていく通常の教科書とは異なり,胸部領域の臨床で遭遇するであろう種々の疾患のなかから重要と思われる150疾患を選び,その“case-based review”を集めた形式となっている.それぞれの症例において,臨床情報,画像所見,最終診断と経過が提示された後,画像診断のポイント,疾患の解説,鑑別診断が続いている.それぞれの項目が冗長にならず,重要な点が簡略かつ明快に記載されているのが特徴で,疲れることなく,流れるように読み進めていくことができる.また,画像診断医として知っておきたいサインについても十分に配慮され,さらに多くの症例で,画像診断のポイントがよくわかる最適な画像が選択されていると感じる.おそらく,編者らの依頼で執筆された全国の中堅からベテランの先生方が,自ら経験した症例のなかからじっくり選ばれた症例が使われているからだと思われる.さらに,最終診断と経過のあとに,Q&A形式の「問題」が挿入され,その疾患での押さえておくべきポイントが強調されているので,そのあとに続く画像診断のポイントや疾患の解説がより理解しやすい構成となっている.末尾に配置された「解答」で重要点が再確認でき,学習効果を考えた優れた工夫と思われる.
疾患の解説では,最新の情報が含まれていて,間質性肺炎のような疾患概念が改定されていくカテゴリーを含め,できるだけわかりやすい形で,しかも工夫された表や図も交えながら記載されているのは読者にとってはありがたい.また,鑑別診断では,簡潔な記載ながら実践的な鑑別診断名が挙げられ,それらの疾患が本書に含まれている場合には参照ページが記載されているので,その症例を簡単に対比することが可能である.
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