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消化器領域には非常に多くの臓器が含まれるとともに,炎症性疾患から悪性腫瘍まで病態も幅広く,同じような症状であっても,診断がまったく異なる状況も存在します.もちろん,「お腹の調子が悪い」といった患者さんの漠然とした訴えを,病歴聴取や身体診察から丁寧に紐解いて鑑別診断を立てていく作業が必要なことも多く,ただ単にCTを撮ればいつでも何でもなんとかなるというものではありません.すなわち,病態生理や診断方法に関して,医師は常に知識をアップデートしていなくてはなりません.なかには,新しく開発されたモダリティや新規の検査方法も含め,日進月歩の医療技術がいつの間にか導入されていることも少なくありません.さらに,数多くの診療ガイドラインが存在することも含め,日頃の自分の診療が旧態依然のものになっていないか? もう時代遅れなのではないか? 実は,なかなか振り返ってみることすらできていないこともあるかと思います.
自身がガイドライン作成に携わった経験から言えることは,新たなエビデンスの創出に伴い,ガイドラインはどんどんアップデートを重ねており,5年前の知識はいつしか古びた,錆びれたものとなり,せっかく学んだ知識であっても,あっという間に古くなっていることが往々にしてあるということでした.もちろん,自分が得意とする臓器や領域の知識のアップデートはきっと,自然と目につき耳にするものと思います.しかし,それほど関心をもっていない領域については,ついつい見落としがちで,気付かないまま時が過ぎていくような気もします.もちろん,学会に参加することで新たな知見を身につける機会もあることでしょう.しかし,それだけでは患者さんに最新の知見を届けることはできません.
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