連載 フレーズにピンときたら,このパターン! 鑑別診断に使えるカード・15
「動脈拍動正常のblue/purple toe」「Raynaud現象」「難治性皮膚潰瘍」
長野 広之
1
1京都大学大学院医学研究科 医療経済学分野
pp.522-530
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227489
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
総論
blue/purple toeは「四肢や指先が急性に紫や青に変色し,自発痛や圧痛を伴う状態」であり,足の指に起こることが多いです.病態は血栓性動脈閉塞,塞栓性動脈閉塞,過粘稠度症候群,血管攣縮性疾患などに分かれ,鑑別には表1のようなものがあります.
鑑別する際に注意する点として重要なものの1つは「動脈拍動の有無」です.動脈拍動をcheckするために下肢であれば足背動脈や後脛骨動脈,膝窩動脈,大腿動脈などを触れましょう.また超音波検査も重要です.拍動が消失していた場合は血栓性/塞栓性動脈閉塞を考慮します.血栓性の場合は頻度的には閉塞性動脈硬化症(ASO)が多く,その場合は慢性虚血の影響で跛行,安静時痛,皮膚の薄さ/光沢や毛髪の消失を認めます5).疼痛は仰向けになると悪化し,依存性(心臓よりも低い位置に足を置くこと)になると軽減します.塞栓性であれば発症は急性ですが,末梢小/細動脈の塞栓であれば動脈拍動は保たれることもあります.もう1つは「寒冷刺激で増悪するかどうか」です.寒冷刺激での増悪を認めた場合は血管攣縮性疾患(Raynaud現象やacrocyanosisなど)を考えます.これらについては次項で扱います.クリオグロブリン血症や寒冷凝集素症も寒冷刺激で増悪しますね.では本項では動脈拍動正常のblue/purple toeについての鑑別を見ていきましょう.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.