連載 フレーズにピンときたら,このパターン! 鑑別診断に使えるカード・14
「palpable purpura」「両側性ばち指」「高拍出性心不全」
長野 広之
1
1京都大学大学院医学研究科 医療経済学分野
pp.344-351
発行日 2021年2月10日
Published Date 2021/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227446
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総論
紫斑(purpura)は「出血によって紫調に変色した皮膚または粘膜病変で圧迫して消退しない皮疹」です.紫斑の鑑別には表1のようなものがあり,軽く盛り上がって触知できるもの(palpable)と触知できないもの(nonpalpable)に分かれます.nonpalpableなものは血小板減少や凝固障害,そして本連載第11回(本誌57巻12号)のNo.33「血小板数,凝固能正常の出血傾向」で紹介した疾患でも起こります.
皮膚は表皮→真皮→皮下組織と分かれ,palpable purpuraは真皮上中層の小血管で壊死性血管炎(白血球破砕性血管炎)が起きている,もしくは感染が直接血管壁に起こり生じます.皮疹を診るときは病変が起きている場所を考えるのが重要です.なぜなら生検する際の深さが変わるからです.膨疹は真皮直下,丘疹は真皮,リベド(網状皮斑)や潰瘍では真皮中層〜皮下組織になります2).診断には皮膚生検が重要ですが,生検する際は出現から24〜48時間の病変を生検しましょう.24時間以内だとフィブリノイド壊死が出現しませんし,48時間以降では浸潤細胞は好中球からリンパ球・マクロファージに変わり,免疫グロブリンの沈着が消失してしまいます.
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