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特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
XVII.一般症状
2.症状からなにを考えるか
ばち指—その初期症状を見のがさないために
finger-clubbing
松木 駿
1
1慶大内科
pp.1531-1532
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204375
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ばち指と肥大性骨関節症
ばち指の存在はすでにHippocratesの時代から知られているが,これを肥大性骨関節症という概念でまとめたのは1890年ころのMarieとBam-bergerで,本症を別名Marie-Bamberger症候群という.ばち指のない本症も報告されているが,それは全く例外的のものであって,木症はばち指から発見されるとしてさしつかえない.本症の骨変化は骨新生をともなう増殖性骨膜炎の所見で,レ線像で骨膜肥厚,新骨の出現,新骨が融合すると骨幹横径増加として証明される.本症に特徴的なのは,この骨変化が長骨の末端部,特に腱付着部に起こりやすいことで,脛骨,腓骨,橈骨,尺骨,中指骨,中足骨に多い.本症の関節変化は腕関節,足関節,膝関節に起こりやすく,関節部の腫張,浮腫,時に関節液貯溜があり,重圧感から疼痛までの自覚症を訴えるが,本症の関節症状は特徴的でないので,しばしば関節ロイマと誤診される.ばち指の外にこれらの骨,関節の変化がそろうと定型的本症であるが,ばち指以外に変化のみられない症例も少なくない、それについては,ばち指だけでもやがて骨,関節の変化を呈するから本症であるという考えと,ばち指だけで決して本症に進展しない単純性ばち指(simple clubbing)と本症は区別されるという考えとがあるが,ばち指を発見すればやはり本症を疑うべきであろう.
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