書評
—堀 進悟 監修 佐々木淳一 編—救急レジデントマニュアル—第6版
久志本 成樹
1
1東北大大学院・救急医学
pp.719
発行日 2019年4月10日
Published Date 2019/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402226260
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救急医療では,緊急性に適切に対応すること,すなわちタイムリーに診療を開始することが重要です.しかし,救急に携わるスタッフが救急患者の診療を開始した段階では,緊急性の程度ばかりでなく罹患臓器も不明であり,いずれの病態の緊急性にも対応できる知識と技術が必要になります.急病,外傷,中毒など,原因や罹患臓器の種類にかかわらず,全ての緊急性に対応する診療能力が重要です.
正確な診断よりも病態に対する蘇生・治療が優先されるショックや呼吸不全患者への対応,救急患者に多く見られる症候からの時間を意識した考え方と対応,そのための検査や治療手技,さらに社会的事項や各種スコアリングなど,救急に携わるスタッフが知っておくべき知識と情報は多岐にわたります.そして,限られた時間と資源という大きな制約を伴う状況でこれらを使いこなし,判断と確実な治療につなげなければなりません.この「限られた時間」「限定された資源」という制約が,救急診療が一般診療と著しく異なる点です.また,この相違こそが救急たるゆえんであり,醍醐味ですらあります.
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