書評
—堀 進悟 監修 佐々木淳一 編—救急レジデントマニュアル—第6版
高橋 毅
1
1国立病院機構熊本医療センター
pp.1626
発行日 2018年9月10日
Published Date 2018/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225812
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『救急レジデントマニュアル』が5年ぶりに改訂されたのでご紹介したい.本書は,慶大病院救急部初代教授の相川直樹先生が初版を刊行され,堀進悟教授,そして佐々木淳一教授と,3代30年に及ぶ,慶大救急医学の,経験と英知が凝縮されたマニュアルである.日本の救急医学を臨床面のみでなく,研究面においてもリードしてきた,あの慶大救急医学の歴々が総力を挙げて執筆しているからこそ,エビデンスに基づいた格調高い教科書となっている.
本書は,ポケットサイズでありながら550ページを超す情報量がある.内容は,全10章に分かれており,まずレジデントの諸君が救急診療を行う際の心構えと基本的な診察法に始まり,次にERでよく経験する症候や疾患について,「鑑別・診断の進め方」「重症度の判定」「救急処置」などが,表やイラストを多用してわかりやすく親切に解説される.また,慶大が得意としている「外傷・熱傷」「中毒」に関しては,新たに章を立てて詳述している.さらに,マイナー診療科を含む各科救急疾患についても網羅し,救急関連の処置や検査については,使用する器具,手順,ピットフォールまで丁寧に解説している.最終章では脳死や災害医療,医療安全,感染対策などにも触れてあり,もはやその射程はマニュアルを超えた広がりを持っている.
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