書評
—萩原 將太郎 著—よくわかる血液内科
本郷 偉元
1
1関東労災病院感染症内科
pp.1267
発行日 2018年7月10日
Published Date 2018/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225729
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本書の著者は,私の初期研修病院の先輩である萩原將太郎先生である.同院では在籍期間が重ならず,直接のご指導は受けなかったが,武勇伝はいくつも伺ったことがあった.萩原先生が内地に戻られて少し経った頃からであろうか,今に至るまでご指導ご厚誼をいただいている.
本書は,専門家として,内科医として,そして教育者として,そのどれもで超一流であり,何より努力家である萩原先生の真骨頂とも言える魅力に溢れている.専門家としての側面は,さまざまな疾患や病態の機序を基礎医学の面からもわかりやすく解説されている点,最新の診断基準が豊富に記載されている点などに垣間見ることができる.内科医としての側面は,症例の身体所見で腱反射などの神経学的診察,Ⅳ音,Ⅱp亢進,眼底所見などを記載している点,p 105の「もちろん結核は常に除外すべき疾患です!」というコメントやp 184にランセット状のグラム陽性双球菌である肺炎球菌の喀痰グラム染色写真を載せている点などからもにじみ出てくる.教育者としての側面は,解説がクリアカットで教わる側の立場を大事にしている点,末梢血塗抹を医師が実際に見ることの重要性を強調していること,症例の解説で思考経路を的確に示していることなどから伝わってくる.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.